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本年度の高校入試を振り返って

更新日:3月13日

 合格発表が近づいてきましたが、その前に本年度の高校入試(国語・数学・英語)を簡単に振り返ってみます。なお、問題文・解答はこちらにリンクがあります。



〇国語

 ハンナ・アーレントの文字を見て仰天。本文のなかで少し紹介されただけではありますが、この哲学者・思想家の論は、中学生にとってはちょっと厳しい。以下の引用文は、実際に本年度の高校入試に出題された文章の抜粋ですが、大人にとっても容易な文章ではないでしょう。



 複数性とは、人間がかけがえのない個人としてこの世界に出生し、これまで存在していた誰とも、いま存在している誰とも、そしてこれから存在するだろう誰とも異なった存在である、ということだ。人間が複数性を有するということは、人間をある法則性のもとに還元することができないということである。だからこそ人間の活動は予測不可能なのである。

(戸谷洋志著『未来倫理』集英社新書、2024年)



 こうした文章もまた、一定の手続きを踏めば十分に読解できますが、トレーニングを積んでいない中学生にとっては厳しいものがあります。

 ただし、このアーレントの主張について理解をせずとも、問4を除いた問題には十分に解答可能のはずです。


 入試問題の多くは、大人向けに書かれた書籍の一部を抜粋して作成されています。だから、どうしても中学生にとっては理解が難しい部分が紛れることもあります。が、そうした著しく難しい部分はとりあえず無視をして、話の全体像をつかみ取った方が得策です。このアーレントの文章に引っ掛かり時間を浪費し、他の問題も解けなくなるのが最悪のケースだからです。


 蛇足ですが、価値観や動機を持った人間だからこそ、予測がしやすいとする考え方もあります。

 たとえば、ヴェーバーによる(理解)社会学です。かなり大雑把に言えば、「入試に合格したい」という価値観・動機を持つ受験生の行動(未来)を予測するのが容易であるように、価値観・動機を持たないモノよりも、かえって人間の方が未来(行動)を予測しやすいとする立場です。


 アーレントとヴェーバーの立場のどちらに説得力を感じるかは人それぞれだと思います。しかし、入試問題を解く際には、そうした説得力は脇に置いておくことが肝要です。読んでいる自分がどう考えるかではなく、この文章を書いている著者が、どのような論理をたどって結論を導いたのかが問われているからです。



〇数学

 ちょっと驚くほど簡単でした。やや歯ごたえのありそうなのは最後の問題くらいです。


 一方、これは大学入試についても全く同じことが言えますが、実用的な場面を想定した出題はどうなのだろうかと思います。本年度の場合、パソコンを使用し長方形を回転させた図が証明問題として出題されたものの、回転させるという行為はほぼ無意味であり、回転後の図さえ示せば解答できてしまうものです。ただでさえ緊張している受験生に対し、無用なプレッシャーを与えただけにしか思えません。そもそも、これは実用的と言えるのでしょうか。


 来年度以降も、こうした受験生をいたずらに惑わせる出題が続く可能性があります。見た目の煩わしさに翻弄されることなく、冷静に解くという心構えが必要です。


 また、本年度であれば最後の問題は十分に解答可能でしたが、それでもなお、無理にトライしなくてよいものです。

 福島県の高校入試は倍率が低いため、高得点を狙う競技ではなくて、とても悪い点を避ける競技と見なせます。つまり、大きな事故なく終えれば合格できるということです。難しい問題を解くくらいであれば、ケアレスミスを防ぐために時間を使用した方がよいでしょう。




〇英語

 英作文の形式が変わったものの、英文そのものは難しくなかったと思います。

 最後の長文はデジタル教科書に関するものでしたが、当塾の生徒から「なんか当たり前の内容で、英文を読まなくても知ってた」という感想が漏れてしまうものでした。仮に英文読解に困ったとしても、常識を駆使すれば推測できてしまう内容だったと言えます。英文が訳せないならば、その場で何とか推測するというトレーニングを重ねてきた生徒からすれば、かなりラッキーな出題だったかもしれません。


 親御さんや中学生は是非、学校で出題される定期テストと英語の入試問題を比較していただきたいと思います。一部の学校を除き、かなり乖離しているのではないでしょうか。当塾が英検を推奨する理由もまた、ここにあります。早いうちから英検で勉強をしておくと、高校入試はだいぶ楽です。


 英検は高校入試だけでなく、大学入試においても存在感を増しています。

 一部の難関大のなかには、英検で準一級を取ると英語が満点扱いになる大学がありますし、共通テストの英語を英検で代替できる大学も確認できます。私立文系であれば、英語さえできれば何とかなる感さえありますが、それは言いすぎでしょうか。



 本年度の高校入試もまた、基礎基本の徹底が最も重要であることを再認識させられる内容だったと思います。本年のように多少出題傾向が変わっても、その内容は決して難しいものではなく、基礎基本さえ身に付いていれば十分に対応できる問題だからです。


 時々、都会の難関高校受験者向けの難しい問題集を使っている中学生を見かけますが、率直に申し上げると不要です。それどころか、出題傾向から大きく外れる問題に時間をかけるわけなので無駄ですし、基礎基本が疎かであれば害悪でさえあります。


 引き続き当塾では、基礎基本の徹底理解を最重視した指導を行ってまいります。

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